テコンドーとは、徒手空拳で戦う蹴り技主体の格闘技で、日本の伝統武道である空手道に類以した朝鮮半島の武道です。その起源は約2000年前の高句麗時代とも言われています。
終戦後、ソウル市内にテコンドー総本山「国技院」が建設され、翌年には世界テコンドー連盟(WTF)を設立、第1回世界選手権大会が国技院で開催されました。1980年、IOCの承認団体となり1988年ソウル五輪で公開競技、2000年シドニー五輪からは正式競技となり、県協会所属の樋口清輝選手と大阪出身の岡本依子選手の2名が出場、岡本依子選手が銅メダルを獲得しました。2004年アテネ、2008年北京五輪に続いて、2012年のロンドン五輪に於いても、正式種目として実施されます。
現在、世界のテコンドー人口は7000万人を超え、約190ヶ国が世界テコンドー連盟に加盟しています。主な大会として、オリンピック大会、世界選手権大会、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、南アメリカ、アフリカ、中東の6つの地域選手権大会が二年毎に開かれるほかワールドカップ、世界学生選手権大会、世界ジュニア選手権大会など世界様々な国で開かれています。
国際スポーツとしてのテコンドー、武道としてのテコンドーと幅広いファンを集めている国際的に人気の高い格闘技です。
テコンドーは元来、武道であるため、精神性が重要視されます。日本の剣道、柔道と同じく、「礼に始まり礼に終わる」武道の精神は、自分自身を戒め、謙虚な姿勢であることを教えています。特に韓国発祥の武道であるために、儒教の精神が根強く反映されており、目上の人に対しての礼儀や、先祖、両親などを大切にする心が養われていきます。
元来、テコンドーは自分自身を守るために出来た護身術を、よりスポーツ化、競技化したわけですから、その意味でも、自己防衛を除きむやみに人を蹴ったり、暴力的な振る舞いは禁止されており、日々の鍛錬により心体を鍛え、自己の完成に努めることが重要とされます。
オリンピックで脚光をあびていますが、本来は、精神修養を目的としたすばらしい武道であること忘れてはなりません。
競技はキョルギと呼ばれ、世界テコンドー連盟の競技規定により実施されます。
競技場は安全性を考慮したマット場に8m四方の試合場が設けてあり、選手はその中で各階級ごとのラウンド制で試合を行います。
試合時間は、競技大会によっては異なる場合もありますが、原則として2分3ラウンド、でラウンドの合間に1分間の休憩があり、選手は規定の防具(ヘッドギア・胴プロテクター・腕、脛サポーター、ファウルカップ)を装着し、各ラウンドのポイント数及びノックアウトで勝敗を決します。同点の場合は延長戦が行われ、先にポイントを取った方が勝ちとなるサドンデス方式を採用しています。
蹴りは腰から上、パンチはボデイのみの攻撃が許されます。相手の頭部、胴体に蹴りが入った場合にポイントが加算されます。ただし、ノックダウンで10カウント以内に戦意喪失 または継続不可能の場合はKO負けが宣告されます。
主な反則としては、手による顔面への攻撃、腰から下への攻撃、背中への攻撃や、肘、膝による攻撃、相手をつかんだり、投げたりすることは禁止されており減点の対象となります。
また現在、ポイントが入った場合に電波で飛ばし採点盤に得点される、電子防具装着による競技大会も徐々に実施されつつあり、次のロンドン五輪では最新電子防具による試合が実施される予定です。電子防具採用の利点は、より明確な判定を推進する意味で重要で、今後の技術躍進に期待がかかります。
世界選手権大会等の公式試合で男女各8階級で実施されますが、オリンピックでは男女各4階級で実施されます。
階級 | 男子 | 女子 |
フィン級 | -54kg | -47kg |
フライ級 | 54.01〜58kg | 47.01〜51kg |
バンタム級 | 58.01〜62kg | 51.01〜55kg |
フェザー級 | 62.01〜67kg | 55.01〜59kg |
ライト級 | 67.01〜72kg | 59.01〜63kg |
ウェルター級 | 72.01〜78kg | 63.01〜67kg |
ミドル級 | 78.01〜84kg | 67.01〜72kg |
ヘビー級 | 84.01〜 | 72.01〜 |
オリンピック階級
男子 | 女子 |
-58kg級 | -49kg級 |
-68kg級 | -57kg級 |
-80kg級 | -67kg級 |
+80kg級 | +67kg級 |
テコンドーには、空手道の形に相当する「品勢」があります。
品勢の修練は武道としてのテコンドーを更に深めると同時に、性別や年齢に関係なく自己の鍛錬、健康維持・体力向上など個人の目的に合わせて行われます。
(1段)・(1品)を取得するまでには八つの品勢をマスターし、審査で合格しなければなりません。
品勢の種類
「太極1章〜8章」「高麗」「金剛」「太白」「平原」「十進」 など
テコンドーにも日本武道と同じく昇段の制度があります。道場により違いますが有級の色帯からはじめて黒帯(1段〜)を目指します。
審査は、協会により異なりますが年に数回実施され、基本技、移動基本、品勢、キョルギ などを行い審査に合格した場合は、テコンドー総本山「国技院」からの「段証」が授与されます。師範資格は4段以上に与えられます。